部品実験:ダイオード 元に戻る

事前知識  2024/9/9

本文目次

本文以外目次
1.ダイオードとは
2.ダイオードの特性
3.ゲルマニウムラジオ
4.ダイオードの種類
1.ツェナーダイオードについて




本   文

1.ダイオードとは

 電気信号を一方向に通す部品です。
 記号は左図の通りで、電流が入るところが「アノード」、出るところが「カソード」と言います。
ダイオードの動作は、たとえで言えば、ダイオードに接続している電線を配管とすれば、ダイオードは弁の様な物です。
その構成で動作を説明すると下図のようになります。


ダイオードのたとえでは、配管の中に有る弁と弁を押さえるバネで構成され、この配管の中に流れるのが電流としてのたとえになります。 ダイオードに電池を接続した回路で、たとえで言えば、反対方向なので、電流は流れません。 左図と電池の接続方向が逆になると、弁押さえバネより電流を流す力(電圧)が大きくなると電流が流れだします。



 ※上図にある弁押さえバネはあと後で説明する「逆方向電流」のたとえになります。
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2.ダイオードの特性
ダイオードの特性には電圧-電流特性、寄生抵抗、温度特性、ツェナー効果などあります。
 今回は順方向電圧-電流特性を説明する。
(1)順方向電圧-電流特性
 a,関係する式は
 
  で表すことが出来る。
  [c] 1.6×10-19 素電荷:電子1個または陽子1個のもつ電気量の絶対値
k [J/K] 1.38×10-23 ボルツマン定数:物質を構成する粒子の 絶対温度 とエネルギーを関係づける物理定数
T [K] 絶対温度:摂氏温度に273.15℃を加えた値で単位は[K]勾配は摂氏と同じ
IR [A] 逆方向電流でダイオードにより違いがある
V [V] ダイオードに加える電圧
I [A] ダイオードに流れる電流
    1N60のIR=0.5×10-6[A]から計算した特性を以下グラフに示す。
 

 b.実際に測定して見よう
   測定に使用した回路は右図のとおり。
 DC1:直流電圧発生器とV:電圧計はCA100、A:電流計はHIOKI3256を使用している。
 なおR1は過電流防止用の抵抗で510Ωを接続している。
 測定したD1は下表のとおり。 
用 途 材 質 番号 備 考
小信号用
高速スイッチング
シリコン 1S1588
1N4148
ゲルマニウム D311
1N60
1N34

 計算とはだいぶ違うようだ。
 ゲルマニウムラジオに良いダイオードは低い電圧で電流が流れ出すモノで、グラフから判るようにD311が良いものの様です。
 (D311はロシア製です)

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3.ゲルマニウムラジオ
 電気・電池の電源を使用しないで電波を聞ける様にするラジオです。
 主な部品はアンテナとコイル、コンデンサとダイオードとイヤホンです。
 このラジオは訳が有ってダイオードの種類としてゲルマニウムを使用しています。
 ラジオ放送が始まった昔は鉱石ラジオと言われ多く使用されていたようです。
 (1)ゲルマニウムラジオの回路図
 (2)このラジオで使用されている部品は
  a.アンテナ回路:アンテナ、接地線で構成されている。
     受信のアンテナは空中の電波(電磁波)をアンテナと言われる導体により電気エネルギーに変換するもの。
 接地線は同調回路や復調回路から出た電気信号を地球へ戻すもの。
  b.同調回路:コイル、バリアブルコンデンサ(バリコン)
     同調回路ではコイルとコンデンサの共振と言う原理を使用して共振周波数以外の電気信号を接地へ共振周波数の電気信号を検波回路へ送ります。
以下にこの振り分ける方法を説明します。

   ある周波数の電気信号の電圧がアンテナから同調回路へ加わります。
同調回路が共振周波数とどうなっているかで電気信号の電流の状態が変化します。 その状態を下図に表します。

 下図で説明する等価回路の各値を
  Va=1(V)、 AC抵抗=100Ω
  とする。

共振状態より高い周波数の場合 共振状態より低い周波数の場合 共振状態の場合










A



A点の電圧Vdは
Vd=Va×LC抵抗/(AC抵抗+LC抵抗)
LC抵抗=10(Ω)とすると
 1×10/110 ≒0.09(V)
A点の電圧Vdは
Vd=Va×LC抵抗/(AC抵抗+LC抵抗)
LC抵抗=10(Ω)とすると
 1×10/110 ≒0.09(V)
共振状態ではコイルとコンデンサの電流が同じであり電流はコイルとコンデンサ間の受渡しだけになるため、
・A点から電流が流れないので、
・AC抵抗の電圧降下がなく、
・見かけ上LC抵抗=∞(Ω)
Va=Vd=1(V)
共振状態の電気信号ではA点が最大電圧となり、ほかの状態より検波回路へ信号が多く流れ、大きい信号として検波されることになる。

  c.検波回路:ダイオード
   下の波形は右回路図のダイオード入力電圧=A-GND間電圧=黄色波形、ダイオード出力電圧=B-GND間電圧=水色波形で示されています。
 回路図の高周波発振装置の出力は100kHz、3dbm高周波信号に1kHzの音声信号を30%入れた電気信号が出力されています。
 また回路図上のR1は1kΩ、R2は10kΩが入っている。
 波形を見ると、検波回路出力は入力電気信号のプラス側信号を出力しています。
 ただしよく見ると入力より≒460mV高い場所から検波出力されています。
 使用しているダイオードD1はゲルマニウムではなく、材質はシリコンの1S1588です。
下写真のΔYの値又は2CH下段のバイアス値を見てください。
後で説明しますが、これをダイオードの順方向電圧と言います。


ダイオードをゲルマニウムの1N60で検波した場合は
280mV以上で検波している。
したがってシリコンダイオードよりゲルマニウムの方が弱い電波でも音声を受信出来ることが判る。


  d.復調回路:イヤホン
  検波回路にSe=イヤホンを追加した。
B-GND間の波形(水色)は100kHzの信号が平滑され無くなり、1kHzの音声信号がB-GND間に現れた。
これは右上図の様にイヤホン自体がコンデンサの機能があるためと思われる。(電源回路と同じ様なもの)

セラミックイヤホンから「ピー」と言う音がしている。
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4.ダイオードの種類
ダイオードは用途別に下表の様な分類名が有り各特徴を持っている。

-整流用ダイオード-
分 類 備  考
一般整流   
ブリッジ   
ゲルマニウム   
スイッチング 主にスイッチング回路等に使用(周波数は10kHz以上)
ショットキーバリア   
ファストリカバリー インバータなどに使用されている。
ステップリカバリー   
A:逆方向電圧が高い  1→3
B:逆電流が小さい    1→3
C:順方向電圧が小さい 1→3
D:逆回復時間が短い  1→4

-ツェナーダイオード-
分 類 内 容
ツェナー 定電圧回路に使用
アバランシェ
トンネル
定電流

-発光ダイオード-
分 類 内 容
フォト
発光
レーザー
ガン

-その他ダイオード-
分 類 内 容
可変容量
PIN
ショックレー
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